静寂と安寧の夕暮に

日が落ちるのが早くなった。
17時にはもう暗い。
夕餉の香りと、冷たくなる風に、人は何を思うのか。

秋を淋しいという人がいるが、私はそうは思わない。
過ごしやすい、実り多き美しい季節だ。
湿度が低いだけで、夏よりはるかに生きやすい。

そして、帰る家に誰も待っていなくても、全く寂しくない。
むしろ、自分の都合だけで時間が使える、そのことがたまらなく嬉しい。

どこか、感覚が壊れているのだろうか。

常々、愛とは自分の時間を相手に割くことだ、と提唱しているが、その理論に従えば、私は自分自身しか愛せない人間である、ということになる。

…ちょっと嫌な気分だが、実際そうなのかもしれない。

しかし、夜は優しく、誰にも平等にやってくる。嫌なことは眠って忘れるに限る。



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